CKA (Certified Kubernetes Administrator) 受験記

CKA受験記

2021年3月と4月にCKA (Certified Kubernetes Administrator)を受験し、合格しました。ちょうどブログを書き始めてみようと思い立ったこともあり、合格までの道のりで参考になりそうなことを書き残します。15年ぶりくらいにブログを書くので、読みづらい部分もあるかもしれませんがよろしくお願いします。

技術的な背景

私のKubernetesとの関わりとして、数年前からDocker実行環境を構築する業務に携わっていました。主にDocker Swarm Modeでクラスターを構築していましたが、Azure App Serviceに鞍替えし、ちょっとだけAWS Fargateなんかも触っていました。

一昨年くらいからAKSを扱うようになりましたが、アーキテクチャとか構築の方針を決めることが主で、実作業はほとんど部下に任せていました。腕が鈍らないように、ごくたまに自分でも作業するようにはしていました。

どう勉強したか

結論から言うと、これだけしっかりやれば十分でした。

  • UdemyのCKA対策講座

当初は、もともと試験勉強にお金をかけることは好きではないので、無料で出来ることからやってみました。具体的には、

  • Kubernetes The Hard Way
  • 上で構築した環境で色々コマンドを叩いてみる

といったことをしましたが、結果的には効果が薄かったです。特にHard Wayはkubeadmで隠蔽される部分の理解が主という印象で、CKA対策としてはほとんど時間の無駄でした。

サンプル問題とかを見つつ、このままではダメだと思い、腰を据えて勉強するべく教材を探し始めました。3つくらい候補がありましたが、Udemyが頻繁に90%超えのセールをしているのと、買い切りで済むのでこれを選びました。

UdemyのCKA対策講座は以下の特徴があります。

  • 解説ビデオと練習問題で構成される
  • かなりのボリュームがある(ビデオだけで18.5時間)
  • 練習問題は本物のKubernetes環境を使う事ができる
  • たまにエラーで練習問題がリセットされてしまうので注意(時間をかけた問題が消えると悲しいので、途中で採点したりしていました。何度でもできるので。)
  • ビデオは英語(多分インド訛り。若干とっつきづらいが、慣れれば問題ない。英語字幕はあるが、調整されていないビデオも多く、あまり役立ちませんでした。アメリカ英語しか聞いていないとつらいかもしれません。)

一周消化するのに50時間くらいはかかったと思います。結局、受験予定日までに一周しかできませんでした。

試験

実際の試験のプロフィールは各所に情報があるので任せるとして、受験してみての気づき等を書いていきます。

まず受験の結果は58点で不合格でした。再受験できることを知っていたので織り込み済みではありました。その後、Udemyで苦手な分野を復習して、練習問題も何度か実施してリヴェンジしたところ、80点で合格となりました。

心得やコツ

勉強やkubectlコマンドを打てるようになる以外で以下のことをやっておくと、合格の可能性が高まると思います。

dry-runでyamlの雛形を作ること慣れておく

一番重要です。これができないと時間までに終了することは難しいと思います。公式ドキュメントからサンプルを拾ってくることもできますが、こちらの方が時間を大幅に短縮できます。

補完機能を有効にする

タイプミスで時間を浪費しないためにも入れましょう。Kubernetes公式ドキュメントに、補完機能を有効にする方法が載っています。

kubectl Cheat Sheet

参照するドキュメントをブックマーク登録しておく

サンプルコードを利用することが多くなります。検索してもいいですが、これも時間を浪費しないために予め登録しておきましょう。CKA用のブックマークを公開してくれている人もいます。自分で作るのがベストだとは思いますが、面倒であれば先人の知恵をいただきましょう。

すぐできない問題は飛ばす

時間がかなりギリギリです。難しい問題は点数の配分も高いですが、解くまでにかかる時間とは比例していません。また簡単な問題が高配分のケースもありました。

留意しておくと良いこと

誤訳がある

試験中は問題文の言語を切り替えることができますが、ある問題で、名前空間の指定が原文と日本語で異なるものがありました。翻訳のほうが正しいということはないでしょうから、念のため、日本語を読んだ後で原文もざっと確認しておくのが良さそうです。

デスクの整理

私は普段テレワークで作業している部屋で受験しました。ごちゃごちゃと物が置いてありますが、少し片づけをすれば問題ありませんでした。紙類やペン、書籍、端末類はNGです。壁や見える範囲に文字が書かれたものがあれば隠しましょう。それ以外は比較的ゆるかった印象で、まずそうなものは紙や布で覆っておけば大丈夫でした。

透明なラベルなしのペットボトル水はOK、という情報をどこかで見ましたが、ラベルなしのグラスに水を入れて置いていたところ、片づけるように言われました。

試験官の当たりはずれ

日本語で受験をしましたが、基本的に試験官は日本語ネイティブではないようです。それでも一回目の試験官はスムースに進みましたが、二回目はひどかったです。中国語でメッセージを送ってきたり、翻訳ツールを通しただけの意味の通らないメッセージを送ってきたりしました。またそのためか非常に時間がかかり、開始から実際に試験を開始できるまでに30分を要しました。普通に英語が読めるのでしたら、英語で受験したほうが良いかもしれません。

所感

想定していたとはいえ、認定試験に落ちたのは久しぶりでした。難しかったですが、おかげでかなり力がついたと思います。

読み物だけで合格することはほぼ不可能です。業務で利用しているか、慣れるための環境を自分で用意しないと厳しいです。その意味で、教材としてすぐに触れる環境があることが大事です。Udemyのように実行環境がついてくる講座を利用するか、メガクラウドの無料枠を駆使して安いVMで構築しておき、勉強期間中は落とし上げして利用するかのどちらかだと思います。

小手先で合格できてしまうような試験も多いですが、CKAには当てはまりません。地道に実践的な勉強をするのが近道です。こういう試験が認定試験のあるべき姿だと思いました。